中学生の頃から心因性の頻尿に悩まされる

10代男性

 

発病までの背景

 3人兄弟の末っ子でしたが、一番上の兄弟とは12歳年が離れているために、まるで一人っ子のように育ちました。家族は祖母、両親、上の兄弟が二人です。当時から兄弟は寮生活をしていたので、週末は家族がそろい、平日は両親と自分だけの生活でした。
 中学校に入り吹奏楽部に入ったのですが、風邪、膀胱炎をきっかけに体調がおかしくなりました。また吹奏楽部でパートリーダーに選ばれるなど責任の重い仕事を任されるようになり、精神的なプレッシャーを感じることが多くなったのです。

 

私に現れた強迫性障害の症状

 膀胱炎になってから、トイレが頻回になりました。治療のために内服と水分を取るように気を付けていたからです。しかし吹奏楽のコンクールが近づいてくると、練習中に抜け出してトイレというわけにもいきません。そのためにおしっこを漏らしたりしてしまわないか?我慢するとまた膀胱炎の痛みに襲われるので怖い、そしてトイレに行きたいと思うようになってしまったのです。
 その思いが練習の参加の障害にもなりました。しかし、練習に参加しなくてはいけないという思いもあったので、始めは祖母の使っていた小さな尿取りパットをパンツの中に入れるようになったのです。実際に汚れる時もありましたが、我慢できることもありました。中学生で尿取りパットなんてやはり異常ですよね。

 

私が行った治療

 尿取りパットを使用すること、そしてトイレへの異常な執着から上の兄弟は、もう膀胱炎で済まされることではない、もっと心因性の原因があるので、心療科へ行くべきと親に忠告をしていました。しかし、母が連れて行くところは、いつも一般の泌尿器科でした。それが治療が遅れて、改善が長引いた原因かもしれません。
 泌尿器に約1年間通い続け、泌尿器の薬と共にデパスなどの不安症の薬ももらっていました。そしてある時、練習の最中に、不安から用量以上のデパスを内服し体育館でぐったりなっているところを発見され、病院に搬送されたのです。そこでの診察から、強迫性障害などの診断を受け、心療内科に通院することになったのです。
 初めは面接やカウンセリング、そして投薬が中心。その投薬もすべて両親管理で飲むたびに親から受け取っていました。通院は始めは1週間に一度のペース。そして慣れてくると2週間に一度のペースになりました。

 

その後

 中学生から心療内科に通い始め、トイレへの執着は徐々に改善され、尿取りパットは20歳のころに取り外すことが出来るようになりました。しかしそれ以降も何か不安があると、それに執着をする、また常に何かをしなければならないと思いにとらわれることが多く、生活は不安定でした。
 専門学校は卒業したものの、人との協調性を取ることが苦痛で、どこかに所属して働くことも難しく結局技術職を身に付け、自営として働いています。しかし、クライアントと長続きすることが難しく、度々変わることが少なくありません。未だに心療内科には1ヶ月に一度通ってカウンセリングを受けています。もう自分の強迫性障害が改善することはないのかなと思いながらも、上手に付き合っていくしかないと考えています。