訓練期間中に強迫性障害を発症した

30代女性、当時20代

 

発病までの背景

 私は、自分でも記憶がない赤ちゃんの時から、とても神経質な子供だったと思います。
 父母、祖父母、私、妹の6人家族でした。初めての子供・孫だったこともあり、今でもとても可愛がられています。また、父母が教育熱心であったので勉強、習い事もさせられ、私はその期待に応えようと真面目にやってきました。中学受験には失敗しましたが、進学校と言われた高校に通い、国公立大学に合格し順風満帆な人生だったのです。
 就職時は不景気で就職氷河期といわれたので、公務員試験を受け、全寮制の警察学校に入学して訓練に励んでいました。

 

私に現れた強迫性障害の症状

 私は就職して初めての夏休みに、警察学校から一時的に自宅へと帰ってきた時にその症状は現れたのです。
 夏休み中に学生時代の友人達と会う約束をしていて、その時間帯は家族は不在だったため、私は鍵を閉めて家を出ました。家を出て50mほど歩いた時だったでしょうか。私はふと、自宅の鍵をしっかりと閉めたのか、すごく気になりました。走って戻り、玄関の鍵を確認すると閉まっていたので、再び足早に歩いたのですが、しばらくするとまた家の鍵を閉めたか気になり始めたのです。そして何度か戻っては玄関の鍵を確認をする作業が続きました。
 私は警察学校の訓練中であり、警察学校では指示された事をできているか何度も確認する事が当たり前です。ですから、その影響で神経質になっているのかと思っていました。しかし、確認行為はひどくなる一方で、大事な物の前から離れられなくなり、家から出られなくなったのです。

 

私が行った治療

 私の異常行動に素早く対応してくれたのは、母親でした。元々神経質な性格であったものの、少しおかしいのではと思い、心療内科へ連れていってくれました。
 そして、心療内科で診察をして頂いた所、私は強迫性障害という心の病気だと診断されたのです。
 これまで家族の中で心療内科へ受診する者はいなかったため、知り合いの医者に評判の良い心療内科を教えて頂きました。私は強迫性障害という病気の前から、極度に緊張すると過呼吸を起こす事があり、リラックスできる優しい女性の先生を紹介して頂きました。
 すぐに警察学校は休職して心身を休める事、そして抗不安薬の服用するように言われたのです。このまま警察官になれないかもしれないとショックはありましたが、自宅に帰れる安心感もあり不思議な気持ちになりました。
 また認知行動療法を行うように言われ、確認行為を我慢する事に徐々に慣れ、不安を少しずつ減らすようにするのです。母親は私にできる限り付き添い、一緒に病気と闘ってくれました。

 

その後

 私は現在は強迫性障害を克服して、すでに結婚し子育てをしています。
 異常なまでの確認行為はしなくなったものの、それでも様々な事に不安を感じる事があります。
 近くで留守宅の様子が気になれば、少し自宅に戻る事もあります。しかし、遠くに離れてから自宅の事が気になった時には、私はしっかりとできているはずと、不安をかき消す事ができるまでになりました。
 このような私の性格ですので、完全に何も気にせず生きていくという事はできないでしょう。けれど、許容範囲の確認行為をし、上手く自分をコントロールをしていきたいです。