ハワード・ヒューズと強迫性障害

 ハワード・ヒューズは世界一の大富豪、そして20世紀を代表する実業家です。
 映画製作と航空機製造、ハリウッドをつくり、航空会社を設立したことでも有名です。

 

 晩年は強迫性障害の汚染恐怖に苦しみます。=>布団から出られない(汚染恐怖の症例)
 原因は数回の墜落事故による脳への損傷だとされており、年をとるにつれて症状が悪化していきました。=>強迫性障害の原因-脳の機能障害

 

 汚染を恐れるあまり、1966年にラスベガスのホテルを買収すると、完全に除菌された最上階のスイートルームに閉じこもるようになります。人を寄せつけず、一日中手袋が欠かせなかったといいます。

 

 また、ドアノブを除菌されたハンカチで覆わないと触れなかったり、手洗い始めると血が出るまでやめられなくなったりしたため、入浴や手の洗浄がほとんど不可能だったともいわれています。

 

 1976年、ラスペガスからメキシコのアカプルコ・プリンセス・ホテルのスイートルームに拠点を移します。1976年4月5日昏睡状態に陥り、メキシコからアメリカに戻る際に自家用機内で死去します。70歳でした。その遺体は、髪や髭は伸び放題、顔中毛だらけで、爪は伸びすぎていくつにもねじ曲がって長く伸びていました。入浴もできなかったので、悪臭が漂っていたといいます。

 

 このように強迫性障害は、お金持ちだろうが天才だろうが関係なく、だれにでも襲いかかる病気です。何よりも早期発見と早期治療が大切です。=>強迫性障害の治療